No.27 VCF発振 (2)

 前回に引き続きVCF発振の話をしましょう。VCFのレゾナンスのツマミを”8”〜”10”にすると発振して音源として使えることは前回述べましたが、この機能を利用したいくつかのポピュラーな使用例をあげてみます。

 VCF発振音は、ほぼサイン波ですから、まず”口笛”などはどうでしょう。図はこの時のブロック図と若干の説明で、音がずり上がるニュアンスと、遅れてビブラートがかかるようなセッティングになっています。

 ここでのポイントは、VCOに入力している3つのコントロール信号です。VCFは「音程」という本来のVCOの役を果たしているので、こうなりますが、KCVはキーボードで演奏するため、LFOはビブラート用です。LFOのディレイタイムを好みのレートにセットすれば、音が出たあと、遅れてビブラートをかけることが出来ます。

 EG1の効果は、VCOではオート・ベンドと呼ばれていますが、鍵盤で押さえた音に向かって、下から音程をずり上がらせるためのパッチで、EG1からのCVのpolarity(極性=つまり+−)が逆になるスイッチか、そのためのinverterが必要です。

 この効果は文章では表現しにくいので、EG1のツマミを色々に動かして感覚的に把握すると良いでしょう。このEG1の出力をVCFにわずかにかけることが、微妙なスパイスとして必要です。冨田勲さんの「展覧会の絵」などはとても良い参考になるでしょう。ピンク・ノイズを少しミックスすれば、さらにリアルになります。

 今回はもう一つ、「宇宙戦艦ヤマト」でよく使われたビュロロロ・・・という効果音にトライしてみましょう。「ヤマトの諸君、また会えてうれしいよ」というあの人がスクリーンに登場するときのアレです。こちらは、LFOで5〜10Hzの矩形波をやや深くVCFにかけ、COFツマミを10から0まで手動で動かすことで出せます。

 LFOでサイン波を選んでも面白いし、COFを逆に動かせば、スクリーンから消え去るときの音になります。さらにLFOのかわりにEGで鋸歯状(きょしじょう)の電圧を作りVCF、VCAにかければ、いわゆるシンセ・ドラムのピューンという音にも早変わりします。

文・岩崎 工

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