今回は、1VCOのシンセサイザーで、VCF発振を利用し、2VCO並の重音を出すテクニックについてです。 図は最低限必要なブロック図ですが、一番のポイントはVCFのCOFです。レゾナンスを発振させ、VCOと合わせて2つの音源として使うのですが、VCFの発振音のチューニングはこのCOFで行います。まずVCO出力とVCF発振音を同じ音にセットしますが、これをやりやすくするためにVCOでは8’(フィート)の矩形波を選びましょう。また、音量バランスが悪くてもやりにくいので、VCOボリュームやレゾナンスを少し下げるなりして調整します。 さて、VCO音とVCF発振音のチューニングがとれたら、今度はCOFを動かしてVCOと異なった音程にセットしてみましょう。この段階になると、やや音楽的な知識が必要ですが、例えば完全5度(ドとソの関係)や4度にすれば一番使いやすいでしょう。 5度や4度の重音はロックの世界ではポピュラーだし、使い方によってはチャイニーズにもクラシカルにも聴かせられます。また、いわゆるコーラスのハモリは3度や6度が中心ですが、これらは長短音程の兼ね合いがあるので少しむずかしいと思います。 さらに、VCF発振音をVCOよりもかなり高くし、倍音の一種として扱う方法もあります。この場合、ある倍音が極端に強調された効果になるので、金属的な音も可能です。チューニングが耳で判断しにくいようなら、チューニング・メーターなどを使用すれば確実です。なにしろ、COFツマミは微妙ですから。 このVCF発振を使った重音で注意するのは、COFで発振音のチューニングを取るため、VCOの音色がかなり制約されてしまうことですが、これを頭に入れたうえで音を組み立てれば問題はないでしょう。 VCO音と発振音の音程の取り方で、プッシュフォンのピポパという音やら、金属的な音、スペース(宇宙)的な効果音(あくまでも空想上のですが・・・)などは容易に作れるでしょう。 あとはビブラートのような変調を加えるとか、EGで変調し音程を動かすとかの、装飾的なアイデアを理論的にブロック上で展開すればよいわけです。
文・岩崎 工
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