今回は、キーボードの一種としてシンセサイザーを考えた場合、特徴的な機能であるポルタメント(グライドとも呼ばれる)やグリッサンドについて述べましょう。 シンセサイザーにおいては、キーボード(鍵盤)は単なるスイッチとして考えた方がよい、ということは以前にも書きましたが、そういった性格をいかしたのがこれらの機能です。 鍵盤を押さえれば、KCV(キーボード制御電圧)が発生しますが、前に押さえたキーのCVと、今押さえたキーのCVを連続的に、なめらかに変化させるのがポルタメントの働きです。つまり、ド・レ・ミと弾いても、おとはドーレーミという具合に、ドとレ、レとミの間の音程がパッと変わらずに、ひきずるようにして変わります。 普通、ポルタメント用のボリュームは、ON/OFFスイッチ以外は一つだけで、これは前後して押さえた2つの音程のCVを、どれだけの時間かけて変化させるか、を決めるものです。つまり、これがゼロの時は、通常のキーボードの状態になります。逆に2〜3秒にセットし、キーボードの低音と高音を交互に押さえれば、サイレンのような効果になります。 一般的に効果的な使い方は、あるメロディーを弾きながら、音程をなめらかにつなげたい所でスイッチをONにするという方法で、ポルタメント時間はあらかじめ適当なレートをセットしておきます。こういった奏法は、いわゆるプログレッシブ・ロック(ELP、イエス、ピンク・フロイドなど)では常とう手段だったので、これらのアルバムで良いサンプルが多く聴けます。 一つ注意したいのは、連続して弾く2つの音程の間隔によって、ポルタメントのかかり具合が全く違うという点です。一歩間違うと妙に間の抜けたフレーズに聞こえたりするので、ポルタメント・タイムと2音程間のインターバルは感覚的に把握してしまいましょう。 さて、もう一つの同様な機能がグリッサンドです。これは、前後して押さえた2音間をなめらかに変化するのではなく、はっきりとクロマティックに(半音ずつ)変化するものです。人間は演奏不可能な半音階の速いフレーズも楽々こなしてしまうこの機能は、CS−01などに装備されています。
文・岩崎 工
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