No.35 インター・フェイス

 本来「インター・フェイス」というのは、種類や次元の違うシステムの間を取り持ち、うまく作動させるためのユニットでシンセサイザーの場合は、外部からの入力、例えばギターや肉声をシンセサイザーで加工したり、入力した楽器の音程でシンセサイザーのVCOを鳴らしたりするのに必要なものです。

 このインター・フェイスは、普通Schmitt Trigger(シュミット・トリガー)、Envelope Follower(エンベロープ・フォロワー)、Frequency Follower(フリケンシー・フォロワー)の3つの回路が組み込まれています。まず、シュミット・トリガー(以下STと略す)は、入力信号(ギター、マイク等)にあるレベルを設定し、それを越えた場合、トリガー信号を発生させるもので、通常のキーボードを使用する場合のトリガー信号の替わりとなり、エンベロープ・ジェネレーターやエンベロープ・フォロワー(EFと略す)を駆動します。

 EFは、いわばADSRなどのエンベロープ・ジェネレーター(EG)の替わりになるもので、入力された音(肉声、ギター等)のエンベロープを忠実にコントロール信号として出力します。これを使えば、EGを組み合わせてセットするよりも簡単で確実なわけです。

 フリケンシー・フォロワー(以下FFと略す)は、入力された信号の振動数を検出し、音程の変化を電圧の変化として取り出す回路。この出力されたコントロール信号は、キーボードCVと同様に、VCOに入力すれば、外部入力した楽器の音程でVCOが鳴ることになります。

 以上の3つの回路を有効に組み合わせた場合、図のようなパッチが出来あがります。ここでは、マイクを使い肉声を入力し、その歌う音程でVCOが鳴り(FFによる)、声の表情、つまり音声と音量のニュアンスが加わる(EFによる)セッティングです。

 この場合、肉声自体は出力されず、音源となっているのはあくまでもVCOで、ギター・シンセと同様の考え方です。これに元の音(肉声、ギター等)をミックスしたり、音源にVCOでなく原音を用いても良いわけです。このように、キーボード以外の楽器でシンセを動かすときには不可欠な回路と言うことができます。

文・岩崎 工

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