No.37 アナログ・シーケンサー

 今回から3回、現在のシンセサイザー・ミュージックの構成上、非常に重要な「シーケンサー」についての話をしましょう。

 シンセサイザーといえば、色々な音色を作る楽器のようなものですが、シーケンサー(Sequencer)は、それらを自動演奏させるための装置といえます。シンセサイザーの一般的なブロック図の中では、キーボードの替わり、ということになります。アナログ(Analogue)シーケンサーは、外見上は図のように8〜12個のボリューム・ツマミが2〜4列に並んでいて、このおのおののツマミに前もって電圧を記憶させ、これを順番に繰り返し再生する仕組みです。

 電圧を記録するといいましたがVCO、VCF、VCAのVCがVoltage controlled(電圧制御される)の略であることを考えれば、このシーケンサーによっても制御できることがわかりますね。

 つまり、シーケンサーの出力をVCOに入力すれば、そのボリューム数に応じたメロディー(音程)を作れるし、VCFでは音色、VCAでは音量を設定して、各ボリューム(ステップ)に記憶させることができるわけです。その方法は、メロディーの場合は、1個の音符を各ツマミでチューニングするのと同じ要領ですることになります。

 さて、もう一つの重要な要素、リズムはどうするのでしょうか。通常は内蔵のLFOによるクロックで一定のテンポを無段階的に変化させられます。ただし、これでは各音符の間隔が一定なもの、例えば8分音符のアルペジオなどしかできません。

 そこで、例えば図のように8ステップが3チャンネルある場合は、1チャンネルをリズム用に使います。これは、そのリズム・チャンネルの出力を「外部クロック・イン」に入力することで可能になります。

 この場合、例えば1,2チャンネルで二声のメロディーを演奏させ、3チャンネルの各ステップで対応するリズムをボリュームの位置で設定するわけです(図)。このように3チャンネルを並列に使うほかに、シリーズ(直列)にしてメロディーを演奏させることもできます。

 これらのアナログ・タイプは、ステップ数に限界があるので、他のシーケンサーと同期演奏したり、デッキを使った多重録音用のパルス入出力ジャックなどを備えています。

文・岩崎 工

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