今回は、より高度なデジタル・シーケンサーとして、ローランドのマイクロ・コンポーザーを取り上げ、この概念を述べましょう。 マイクロ・コンポーザー(以後MCと略す)には、MC−8、MC−4の2機種がありますが、こちらは単に音の羅列を作るシーケンサーでなく、シンセサイザーを組み合わせて「より綿密な音楽作りの出きるコンピューター」と考えるのが妥当です。 例えば、ある人がピアノを弾くときは、鍵盤が楽器と演奏者の接点、あるいはインター・フェイスになっているわけで、ここでメロディー、ハーモニー、リズム、強弱、タッチ、それに伴う音色の変化のすべてをコントロールしています。 MCでは、これらの演奏データをすべて数値に置き換えてプログラムします。したがってMC本体には電卓のようなテン・キーを中心にデータ打ち込み用のキーが整然と並んでいます。唯一アナログ的なツマミは、テンポを手動で変えるためのものだけです。 MCを使った音楽制作のプロセスは、譜面→プログラム・シート作成→打ち込み→シンセサイザーを駆動させ再生→部分的なプログラムの修正、というようなものです。 これを繰り返し、各パートを積み重ねることにより、音楽を組み立てていくわけですが、いわゆる多重録音を前提とした場合がほとんどです。 さt、MCでプログラムする主な要素は、CV(例えばVCOに送ってメロディー)、STEPとGATE(リズム)の3つ。そして主に打楽器用の独立したチャンネルであるMPX、さらに曲のテンポを細かくプログラムするときのTEMPO等です。 MC−8は、それぞれ8つのCV、GATE出力を備えており、独立したリズムでメロディーを同時に8声までコントロールできます(8音の和音も当然可能です)。もっとも、このためにはシンセサイザー側に8つずつのVCO、EG、VCAが最低でも必要なわけですが・・・。 ここに挙げた図は、”音”の三要素と”音楽”の三要素を表にし、シンセサイザー+MCの組み合わせをどう対応させるかを表現したものです。 次回は、音符を実例にあげてMCの考え方を、より明確にしてみましょう。
文・岩崎 工
|
シンセサイザー講座に戻る 次は、マイクロ・コンポーザー(2) |