前回までは、デジタル・シーケンサーの発展型としてマイクロ・コンポーザーMC−4,MC−8についての話をしてきました。これらは単なるシンセサイザー用自動演奏装置というより、新しい音楽制作の一形態と呼ぶにふさわしいものです。 さて、MC−4、MC−8は、シンセサイザー専用に開発されたものですが、最近話題のパソコン(パーソナル・コンピューター)を利用したシステムも既に存在します。アムデック社のCMU800という一種のインター・フェイスがそれで、既製のシンセとコンピューターの橋渡し役になります。コンピューターに詳しい人なら、一度はパソコンを使った音楽制作を考えるものですが、何せインター・フェイスを自作したり、マシン語(コンピューターが理解できる専用言語)のプログラム作成とか、ソフト、ハードウエアの両面に相当の知識がなければ実現できないわけなのです。 そこで、このCMU800の登場となるのですが、オプションとしてコンピューターの機種別のソフト(カセットテープに必要なシステムデータを収めたもの)があります。 これを自分の手持ちのパソコンにロード(データを入力)すれば、後は自動演奏をさせるための音楽的なデータを自分で作り、パソコンのキーボードを使って入力すれば良いわけです。この操作は、先々週から説明しているMC−4,MC−8と同様のものです。つまりパソコン+シンセの難関であるインター・フェイス作成とマシン語によるプログラムは、このCMU800でカバーできます。 さて、CMU800では、8CV(1オクターブ/1ボルト)と8ゲート出力があり、シンセサイザーに接続して8声のメロディーをそれぞれ独立して演奏させられます。さらに同期演奏用のクロック・イン/アウトの端子があるので、クロック信号を使った多重録音も可能です。 ところで、実はこのCMU800には、メロディー、ベース各1、和声4声、打楽器音7種が音源として内蔵されており、これらが自在にプログラムできます。外部シンセを接続しなくても、パソコン+CMU800にアンプを加えれば、ある程度の音楽制作が可能だ、ということです。
文・岩崎 工
|
シンセサイザー講座に戻る 次は、同期信号 |