No.45 エフェクター(1)

 今回と次回は、シンセサイザーの周辺機器としていろいろなエフェクターについて書きましょう。

 まず最もベーシックなのは残響をつけるたぐいのもので、これらはアコースティック楽器(生楽器)の場合と同様に自然な音場を作ることのほか、特に目立った派手で特殊な使い方もあります。

 シンセサイザー本体で作られた音は、自然音に比べて非常に単純な波形を持っており、これが、「シンセサイザー=電気音」と感じさせる原因にもなっています。逆に言うなら、この単純さ(純粋さ)が新鮮に感じる場合もあるわけですが、最も容易に自然な音響に仕立てる方法が、残響をつけることなのです。

 この手のもので一番ポピュラーで安上がりなのは、スプリング・エコー、つまりリバーブ(Reverbration)です。ユニットの中に何本かのスプリングを持ち、これに電気信号を通すことで、あの風呂場の中のような響きを作っています。

 このタイプは自然な空間的広がりを演出でき、最も使用頻度が高いので、高品質のものを勧めます。

 プロのスタジオでは、この代わりに「鉄板エコー」というのを使用しており、高音域の透明感は格段に違います。

 次は、いわゆる「エコー」ですが、プロの間では「フィード・バック」とか「リピート・エコー」と呼ばれています。これらにはテープ式エコーと「デジタル・ディレイ」または「アナログ・ディレイ」などが主流で、いずれも原音を遅らせて再生し、山びこの効果を作るものです。

 「アッ」という声を入力すると「アッ、アッ、アッ・・・」と繰り返す効果で、通常最も遅らせても1500ミリセカンド(1.5秒)程度です。テープ式では、入力音をテープに録音し、続いて複数のヘッドで再生する方法を取っており(図)、デジタル・アナログ・ディレイではこれを電気回路で処理しています。デジタルは主にプロ用ですが、メモリーに数値を記憶させるので、当然クオリティーは高くなります。

 これらの音を遅らせるデバイス(装置)は、遅延時間とエコー音量により実に多種多様な効果を得られます。例えば、シングル・ディレイはシーケンサーとの組み合わせで効果を発揮するし、ショート・ディレイ(50〜100ミリセカンド)は、独自のソリッドで金属的なサウンドになります。

文・岩崎 工

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